「45年ぶりの大雪っていってたでしょう、あんたが生まれて退院する日が大雪でねえ、そうかあ、あれから45年かあ」
雪かきしなくてだいじょうぶ? 野菜は足りてる? 買い物はない? と訊くと、「むしろ凍ってるからあぶない。なにもない、来なくていい」と母は言う。
「イシイさんが車で迎えにきてくれて、雪を漕いで帰ってきたら、お父さんがストーブを焚いててくれてあったかくて、でもいないからあれ? と思ったら、しばらくしてにこにこして帰ってきて、ほら、あの、ベッドの上で回るオルゴール、あれ買ってきて。昨日もそんな話してて「覚えてる?」ってきいたら「覚えてない」って。まったくねえ」。
なんべんもきいた話だけど、実際に「45年ぶり」の雪を目の前にしてきくと実感が違う。
くれぐれも来なくていいから、滑ったりしたらたいへんだから、こっちがちゃんとしてても、あっちの車がぶつかってくるかもしれないから。切り干し大根だってあるんだから。ゆっくりしてなさい。
気温が上がって、早く雪、もっと溶けるといいのに。