めずらしい和菓子を見かけると、つい買ってしまう。
浦和伊勢丹で見つけたのが、「千金丹」。白い檀紙風の平たい包みに、金色で麗々しく、名前が書いてある。
「せんきんたん・・・。なんか訊いたことある・・・。それを飲むやつあんぽんたん、とか」と、包みを見て、母が首を傾げている。「ねえ、おとうさん、せんきんたんって、なんかあったよね?」と訊くと、父が「越中富山」と即答した。
「わかった!」と母は言い、
越中富山の千金丹、鼻くそ丸めて万金丹、それを飲むやつあんぽんたん、と、節をつけて歌い始める。
「むかーし、悪口で言ってたの、きいたことある。そうだそうだ」。
初耳だけど一発でわかる節回しなので、ふたりで調子に乗って歌ってたら、父が「それ、やめろ」と言う。
「なんで? 品がない?」
「品がない」。重々しく、のたまった。
で、神奈川県秦野市・佐野老舗の「千金丹」。
味はまさに「羊羹の端っこ」。それが板チョコ状になっている。すんごく、おいしい。
* 検索してみたところ、「越中富山の千金丹」ではなく、「越中富山の薬売り」から始まるのが、どうもポピュラーのようです。