今年も北海道からメロンが届いた。
「ちょっとだけどー、お供えしてね」
ちょっと…?
いやいや、立派な、大きなメロンがふたつ。
三日ほど熟すのを待って、格好つけて一口大に切り、ありがたくいただく。おいしいよう。
格好つけて切ると、種が残る。
父は、メロンの種が好きだった。
「うまいんだよ、これが」と言い、「そんなの食べなくても、おいしいところがあるのに」と母が言う。
種をごそっと渡すと「よしよし」と父に褒められ、「もぉー」と母にたしなめられ、それがおきまりの光景だった。
思い立って、余った種をざるに載せ、果汁を濾してみる。透明なオレンジ。きれいー。おいしそー。さらに冷凍してみた。
糖度が高すぎてどうなるかと思ったけど、なんとまあ。うつくしい純正シャーベットが出来上がった。
父は正しかった。今まで、種をそのまま捨ててすみませんでした。
これから、メロンの出汁は大事に凍らせることにします。